見落としていましたが、2020年7月22日にイーガブのパブリックコメントの中で、「厚生年金保険法施行規則等の一部を改正する省令案(仮称) に関 する御意見募集(パブリックコメント) について」募集※がありましたので、概要を解説します。
パブリックコメント募集のページは<こちら>
ポイントは以下の2点で、それぞれ、確定拠出年金にも影響がありますので、見ていきましょう!
ポイント
- 年金関係手続における死亡者の個人番号に係る措置
- 年金関係手続における法定相続情報一覧図の写しに係る措置
※ちなみに、手続きの改善であり、喜ばしい方向なので、特に意見も出ないかと想像しています。
コンテンツ
年金関係手続における死亡者の個人番号に係る措置
簡単に言うと、個人番号(マイナンバー)利用法に死亡者の資産の相続時に、相続人は死亡者のマイナンバーを提出しなければならない。
となっていたものを、死亡者のマイナンバーの提出は不要にしよう!と法令改正を行うものです。
おそらく、一般的な感覚としても、亡くなった方のマイナンバーがなぜ必要なの?と思う方が大多数ではないでしょうか?
手続きが簡便で良い方向になるので、是非反対意見が出ず、法改正がなされればと思う次第です。
年金関係手続における法定相続情報一覧図の写しに係る措置
こちらは、現在活用することができない法定相続情報証明制度について、年金関係手続(確定拠出年金を含みます)にも拡大しよう!というものです。
そもそも法廷相続情報証明制度って何?
相続人が法務局(登記所)に必要な書類を提出し,登記官が内容を確認した上で、法定相続人が誰であるのかを登記官が証明する制度です。
要は、戸籍書類一式を都度必要な銀行に提出していたものを一覧図の写しで代替できるよう事務手続きを簡便化したものです。イメージは下記図を参照ください。

※法務省民事局_令和元年6月1日改定_「~法定相続情報証明制度について~」P.2から抜粋
確定拠出年金(企業型DC及びiDeCo)にも影響があるの?
確定拠出年金法においては、政省令含めて手続きの方法まで記載はないので、事務運用の変更がなされるだけかと思います。
ただし、国民年金基金規約では(支給要件)第127条第3項第2号で“戸籍謄本又は抄本”の提出を明記されていますので、これは規約変更が必要になるのかと思われますが。
ここで、そもそも確定拠出年金での影響(良い方向への改善なのか?)について補足すると、配偶者が相続人のケースではこの改正で事務手続きが簡単になると思われますが、その他いくつかのケースでは当制度の活用はできないと思われます。
どういうことかというと、確定拠出年金の相続順位と一般的な相続順位は異なる部分がいくつかあり、法廷相続情報一覧図だけでは、確認が取れないケースが多いためです。
例えばですが、確定拠出年金法の配偶者以降の相続順位では生計維持関係があるかないか?が重要ですが、一般の相続では生計維持関係は順位に影響がないことからも確認書類が異なる理由がイメージできるかと思います。
まとめ
今回のパブリックコメントについては、良い方向の改正と思われますので、前向きな意見が多いのではないでしょうか。
ただし、法廷相続情報証明制度の活用と確定拠出年金の事務では相違点もあるので、必ずしも当制度が使えるわけではなさそうということが注意点になろうかと思います。
では、また。